project schedule


[studio]での活動は終了しました。
ご来場いただいたみなさん、どうもありがとうございました。

今後、吉原治良賞記念アート・プロジェクト2008では、これまでの[studio]等での活動を元にアーティストが最終計画書を作成し、それをもって審査員による2次選考が行われます。またアーティスト決定後に、別途コーディネーターの審査が行われます。
最終結果は、年明け頃に発表の予定です。

* mixiにもコミュ作ってみました!:吉原治良賞記念AP2008メンバー募集中です。

2007年7月29日

北海道より。

こんにちは、北海道よりアートコーディネーターの山下です。
身辺報告も兼ねてお便りです。

大阪の夏は蒸し暑くて死にそうですが、ここは極楽、窓を開けて寝たらカゼひきます。
そんな環境の中で、私は今「北海道立近代美術館」にて博物館実習というものをしています。

最近人気(と聞いています)の学芸員になるための実習で、ニュアンスは教育実習と変わりないと思います。
家からの通いで8時に家を出て、8時に帰宅。という毎日です。その時間外にこのプロジェクトのことや自分の企画のことをやる。想像以上のものでした。

入選作家の山本握微が掲げる「普通芸術」
制作する人間の立場が「普通」であること、つまり一定時間働き、報酬を得る、企業に属するなどした人間が行う芸術活動を総称したものです。一定の報酬を得ているので、制作活動や展覧会にかかる費用は全額自分で賄う。そうすることで自分だけの表現ができる、と山本本人も言っていました。
日曜画家と同一視されそうですが、決定的に違うのは、自ら積極的にアート界と接点を持とうとすることであると言っています。

日常的な「仕事」と、その間にある時間を使っての「制作」を両立して行うことは、並大抵のことではありません。
山本握微は、展示の度に徹夜をして、朝「行きたくねぇー」と言いながら仕事に行っています。
何となく分かってはいましたが、学生の私にはリアリティが無いままでしたが、今、ひしひしと実感しています。

芸術系の実習とはいえ、たっぷりと時間拘束され、その間は自由時間が殆どありません。
帰ってから夕食、風呂のほか、日誌や報告書、次の日までの課題をこなすともう11時。ここから自分の時間になるのですが、気力が持ちません。
この状態から、制作活動に移行するアーティストの熱意には、ただただ感服します。

しかし山本の言う「普通芸術」は、何も山本だけが実践しているものではありません。
同じく入選作家の藤井光も自分の仕事を持ちながら(映像という項で繋がってはいるが)制作をし、夢をみる夢も、大学の講師をしながらと、考えてみればみんな普通芸術家かもしれません。
ただ山本握微は、日本においてごく一般的な「サラリーマン」の形態で活動しています。
ちなみにstudioには山本握微の給与明細も展示されています。笑

日本におけるアートへの支援の無さは、こうしてみると顕著に現れます。
「好きなことやってるんだから仕方が無い」という一般の方の意見はごもっともですが、今やアートはその地域の、その国の文化のバロメーターとして、先進国の間では評価されます。
逆輸入主体の日本美術が、いつか変わってくれればと、思いながら僕もこうやって文章を書いています。

学芸員になりたい人が増えているなら、その傾向がプラスに転化していけば良いなと思います。
学芸員もコーディネーターも、やっていることに大差はありません。どちらもストイックで大変な仕事だと思います。

「コーディネーター」を公募したこの吉原治良賞の意義は、「コーディネーターが必要だ」という、そういうメッセージが込められているのかと、考えさせられます。

そのためにも「需要」が無ければならないと、考えています。
見る人が増えれば、認知も広まる。
単純なことですが、そうなのかな、と思いました。

そのためにコーディネーターがしなければないこと、山積みです。
まず、皆さんに見てもらわなきゃないので、これからの告知です。

8月1日の森さんのレクチャー、コーディネーターの山本さん主催の「アーティストの夏休み」に続き、8月末からは各作家による展示がなんと毎週末行われます。

この5組の作家の中から、9月以降の二次審査で1組が選ばれる。
一体誰が選ばれるのでしょうか?私も検討つきません。
このプロジェクトにおける展示の側面には、そういった問題もあります。審査員になったつもりで、これからの展示を楽しむ。そんな楽しみ方もあるのではないでしょうか。


yamashita

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